まだ、タイで編集者をしていたころ、取材でチェンライに行き、象使いの体験をしたことがありました。もう今から25年以上近く前のことになります。
そのとき、タイでは象との共存がとても大きな課題であること、そのために象使いが必要であること、をはじめて知りました。
あれから25年以上、あのときの体験は、私の中でも生き続けていて、タイに行くたびに、象を見るたびに、思い出す光景となっています。
タイでは、象は人間の暮らしに密接にかかわりながら、ともに生きてきた動物。
とはいえ、人口が増え、自然が減っていくと、象たちの生きる場所も少なくなっていく。力のある象たちは、人間たちのために働くことで生きていく。でも、これって、結局、象たちの住む場所をさらになくすための労働だったりもするわけです。
けがをしたり病気になったりする象が増え、街に降りてきてしまう象も出てきています。森の中では象牙を狙われ、命をおとす象たちも。
そんな象たちを救おうという活動のひとつが、象の糞から紙づくりをする、というものだったんですね。こういった紙づくりは、タイだけでなく、他の国にも広がっているそうです。
そんな背景をはじめて知り、今回の渡タイで「ぜひ行ってみたい場所」にラインナップ。
ということで、さっそく、実際に体験してきたことをシェアしていきたいと思います。
体験できるのは「PooPooPaperPark」

この事前情報だけでも、かなり興味をもった上、ちょうど今回、チェンマイに滞在する予定だったので、もちろん、迷いなくスケジュールに入れました!
ということで、いざ、チェンマイの「Elephant PooPooPaper Park(エレファント・プープーペーパー・パーク」へ!
チェンマイ中心部からも車で30分くらいと、わりと近いので、行きやすい場所だと思います。近づくと看板もたくさんあるので、迷わず行けると思います。(レンタカーで行く場合も)
施設の中は、とてもきれいで、象の糞というイメージとはまったく違う印象。入口を入ると、すぐに受付があるので、まず入場料を払います。(一人150バーツ)
そのときに、受付のスタッフさんに「ここには象はいませんよ~」と何度も言われました!笑
象が見られると思って訪れる人もいるんですね、きっと。
時間制でガイドさんが施設内を案内してくれます。待ち合わせ場所と時間(ガイドさんのスタート時間)を伝えられるので、「その時間までカフェで休んでて」と受付の人。
「自力で見てもいいの?」と聞くと、「ガイドさんなしでぐるりと回ることもできます」ということだったので、ガイドさんが必要な人はガイドさんと一緒に回った方がいろいろ聞けそうな気もします。
ただ、到着時間によって、ガイドツアーまで待つこともある。(私たちは、これだった…)なので、到着時間や滞在可能な時間によって、ガイドさんと回るのか、自分のペースで回るのか、どちらか選ぶといいのかなと思います。
私たちは、ガイドツアーの時間までかなり待たなければならなかったので、自力で回ることを選択。自分たちで回っても、困ることはいっさいありませんでした。説明がちゃんと書いてあるので、それを読めば工程も理解できます。
そもそも、象の糞で「紙」はできるのか?
ところで、象の糞って見たことありますか?

タイで象のりをしたことがある人や日本の動物園で象を見たことがある人以外は、なかなか想像ができないんじゃないかな。
けっこう大きな塊なんですよね。
あの大きな体から、一日平均50㎏~70㎏の糞が出るそうです。ちなみに、糞1個の重さは1㎏~1.5㎏くらいで、一度に5~6個出るとか。
これを聞いて思い出したのが、以前、象の近くにいたときに「ドサッ」という音がして、びっくりして見ると、象が糞をしていた、ということがあったっけ。そりゃ、音もするだろう。
そんな象の糞、草食動物なので、匂いはほぼありません。若干、草っぽい匂いがするかなという感じです。
そして、この象の糞には、繊維質がたくさん含まれているので、上質の紙ができるんだとか。
ここに目をつけた人、「本当にすごいな」と思います。象の糞、本来は捨てる、というか、どちらかというじゃまな存在であったと思うんですよ。道ばたにゴロゴロ落ちていたら、と想像すると…、どうにかならないかなって思っていた人もいたに違いない。そんな糞に価値が生まれたわけです!すごい、発想ですよね。
糞が「紙」に変身するまで
さて、前置きはここまでにして、実際に、象の糞が紙に変身するまでを、ざっくりご紹介していきます。
①糞を乾燥させる

②糞を洗って、煮出す

③再び乾燥させる

④色をつける

⑤すく

⑥乾燥させる

めちゃくちゃざっくりですが、こんな感じで糞が紙に変身していきます。そして、これらの工程のひとつひとつを見て回りながら、ちょこっと体験もできてしまう。おもしろくないわけがない!(私個人の感想ですが…)
「象の糞でできた紙ですよ」と言われたら、「へぇ」で終わるかもしれないけれど、その工程を見て体験できたら、「へぇ」じゃない気持ちが湧いてくるものです。
個人的なおすすめポイント!
では、ここからは、私個人が感じたおすすめポイントを紹介したいと思います。
まず、私たちは自力で回る選択をしたので、どの順で回ればいいのか、迷うかなぁとちょっと心配だったんですが。なんと親切にも、順路に象の糞が落ちているんです!
「次はこっちだよ」という印が、象の糞!という。これ、とてもおもしろい!!!

象の糞をたどっていけば、ちゃんと順番とおりに見て回る工夫がされていました。
あと、見て回るだけじゃなく、ところどころ体験ができるので、それもとてもよかったです。「こんなふうに作るんだな」というのが体感できる。お子さんも楽しいんじゃないかと思います。
ひととおり工程を見たあとには、ワークショップもあるので、そこで象の糞でできた紙を使ったクラフト体験もできるようになっています。「子ども向けなのかな」と思いきや、大人の観光客たちが楽しそうに作っていたので、大人も子どもも楽しめるかと。

入口の近くには、お土産屋さんとカフェがあるので、休憩しながら、お土産を選ぶのも楽しいです。カフェの座席数は少なめなので、団体の旅行者と重なってしまうと、ゆったりくつろげる感じではないかも。
トイレもかわいかったし、施設内全体がおしゃれな感じにまとまっていて、タイのトイレが心配な人や、小さなお子さんがいて衛生面で不安がある人なども、まったく心配いらないかなと感じました。
敷地内はそんなに広くはないけれど、緑もあって、池もあって、開放的なスペースもあるので、見て回るだけでもリラックスできる空間でした。
訪れたことで変わったこと
訪れる前は「エシカルな取り組み」として興味をもったんですが、行ってみると「ものづくり」としても、とてもおもしろいなと感じました。
日本や海外でも、これまで何度も紙づくり体験はしたことがあるけれど、象の糞がどうやって紙になるのか。その工程も興味深かったし、それをこうやって体験できる施設にしてしまうという発想は、本当にすごいなと思いました。
通常は、象の糞で作った紙を売って、そのお金で象の保護をしていく、というやり方が王道だと思うんですね。でも、そこに体験を入れることで、もっと興味がわくし、身近なものになる。
そういう場があるのとないのとでは、ぜんぜん違うなと、実際に体験してみて感じました。
どこに価値を見出すか。そして、どう発信していくか。どう身近なものとして感じてもらえるか。
そこがとても大事なんだと感じました。この取り組みが広がって、身近に感じる人が増えて、象の保護、象との共生につながるといいなと、心から思いました。この考え方は、他の動物との共生にも通じるものがあるんじゃないかなとも思ったし。
ここで見た取り組みを、自分の国で参考にしたり、違う形にアレンジしたりして、いろいろな国に広がっていくといいなぁと感じました。

こんな人におすすめ!
✔ 象や動物が好きな人
✔ ものづくりに興味がある人
✔ エシカルな取り組みに興味がある人
✔ 日本では体験できないことをしてみたい人
✔ チェンマイでどこに行こうか迷っている人
✔ 新しい発想を生み出したい人
✔ 動物との共生に興味がある人
もっとありそうですが、「あ、自分もあてはまる!」というものがあったら、ぜひ、行ってみてほしいなと思います。
【まとめ】日本ではできない珍しい体験を!
海外に行くと、限られた時間でどこに行くか、何を見るかって考えますよね。たくさんありすぎて、絞れない…ということもあるかなと思います。(私はほぼそんな感じです)
そんなとき、「これって、日本でも体験できること?」という軸で選ぶのも一つかなと思っていて。
日本でも同じようなことができるなら、それは最優先ではないかなと。逆に「これは絶対に日本じゃできないな」というものを優先するようにしています。
これがもし「紙づくり体験」だったら、優先順位は低かっただろうと思うんです。でも、「象の糞から紙づくり」は、日本では体験できないに違いない。そうなったら、もう体験してみたくて、ウズウズしてしまうのが私。
そして、結果的にも行ってよかったし、たくさんのヒントや気づきを得ることができました。
私自身、エシカルなことにとりわけ関心が高いわけでもない(興味はあるけれど、実践はそんなにできていない…)し、動物は好きだけど動物愛護の活動をしているわけではない(動物は飼っているけれど)。
でも、そんな私が、ここに来て、仕事や生き方に活かせるヒントを見つけたように感じています。
まぁ、そんな固いことは考えなくても、ただただ楽しかった!おもしろかった!行ってよかった!というのが、感想です。
ふだん触ることはないであろう象の糞、手で触ったり、匂いを嗅いだり。象以外の糞と比べたり。そこから紙ができるまでを体験していく。そんな非日常体験はなかなかできないですよね。
象と一緒に生きているタイならではの体験、興味がわいた人は、ぜひ訪れてみてください♪
Elephant PooPooPaper Park(エレファント・プープーペーパー・パーク)






